
アルブレヒト・デューラー 5
父の元で金細工師の修業をしていたデューラーにとって、ビュランを用いる銅版画は、木版画より手慣れた技法だった。銅版画の表現法はショーンガウアーによってほぼ完成されていた。デューラーはより大型にし、テーマの範囲を広げ、洗練された刻線での豊かな表現を求めればよかった。また「ハウスブーフの画家」によるドライポイントの作品も知っていた。銅版画の代表作は「騎士、死、悪魔(1513年)」「メランコリア1(1514年)」「僧房の聖ヒエロニムス(1514年)」。初期の作品と比較すると画面の構成や材質感の表現に進歩がみられる。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
人物略歴
デューラー6 7 8 1 2 3 4
デューラー
僧房の聖ヒエロニムス 1514年
銅版画 24.7×18.8cm
ベルリン 国立版画館
世界美術大全集14 北方ルネサンス
人物略歴
デューラー6 7 8 1 2 3 4
僧房の聖ヒエロニムス 1514年
銅版画 24.7×18.8cm
ベルリン 国立版画館

木版画も多く制作している。木版画では、画家は下絵を描くだけで、彫りと刷りを別の職人に委ねることができた。グーテンベルクの印刷法が普及すると、凸版の木版画は挿絵として欠かせないものになっていた。デューラーが弟子入りしたヴォルゲムートの工房も、印刷・出版業者と共同作業をおこなっていた。
デューラーは、刻線を増やし、交差ハッチングを取り入れて、立体と明暗の表現を銅版画のレベルに上げて、木版画を挿絵から単独の一枚刷りへ戻している。
「ヨハネ黙示録(1498年)」は約40×30cmの紙、15枚連作で聖書の図解を試みたもの。コーベルガーに印刷させて自ら出版している。1511年には、木版画連作「大受難伝」、「聖母伝」とともに、新たにタイトル・ページを加えて書物のかたちで再版している。1510年代初めに木版画「小受難伝」、銅版画「受難伝」を完成させている。
デューラー
休息するキリスト(「小受難伝」扉絵) 1511年
木版画 約12.7×9.7cm
パリ 国立図書館

デューラーは、刻線を増やし、交差ハッチングを取り入れて、立体と明暗の表現を銅版画のレベルに上げて、木版画を挿絵から単独の一枚刷りへ戻している。
「ヨハネ黙示録(1498年)」は約40×30cmの紙、15枚連作で聖書の図解を試みたもの。コーベルガーに印刷させて自ら出版している。1511年には、木版画連作「大受難伝」、「聖母伝」とともに、新たにタイトル・ページを加えて書物のかたちで再版している。1510年代初めに木版画「小受難伝」、銅版画「受難伝」を完成させている。
休息するキリスト(「小受難伝」扉絵) 1511年
木版画 約12.7×9.7cm
パリ 国立図書館
