大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

第2場面 キリストの降誕

中央画面の右半分に聖母子が大きく描かれている。たらいや嬰児用のベッドはイエス誕生を示しているが、通常のヨセフもいる壊れかけた家畜小屋ではない。風景や空が見通せる開けた庭先で、イエス誕生よりも、マリアのキリスト受肉の象徴的表現になっている。薔薇の花、堀、聖堂、天空の父なる神、これらはエリコの薔薇、閉じられた庭、世界の教会、神の光としてマリアを象徴している。神殿の出口に置かれたガラスの水差しは、神秘家ビルイッタの「陽がガラスを通してもこれを害さないように、処女マリアの無垢は、我が人性を受け入れても損なわれることはなかった」という言葉に基づくとされる。水差しに向かいあう、神殿右側出口にいる輝く姿の少女は、母となる前のマリア。その頭上、半円形ティンパヌムに見える玉座の人物は神の決意の瞬間を表しているとされ、神殿内外の祈る天使たちや奏楽の天使たちは、イエスの母となる乙女の出現を祝っている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
画像 左翼・中央パネル 名画への旅10 講談社