大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ポントルモ 2

1523年にペストがフィレンツェで流行した。1525年までポントルモはガルッツォのカルトゥジオ会修道院の中庭回廊に「キリストの受難」を主題とする連作を描いている。多くが塗りつぶされているが、この時代の代表的受難連作になったと考えられている。デューラーの「小受難伝」の版画をもとに作成したとされ、ヴァザーリは「ドイツ風」と非難している。
カルトゥジオ会の厳格派がポントルモに与えた宗教改革精神が示されているともされる。ローマ・カトリック内部にも新教的改革派が存在していた。ポントルモが改革的だったとすると、プロテスタント派のデューラーを模倣することにそれ以上の意味があったのかもしれない。
ポントルモに強い影響を与えたのが、ボッティチェリとミケランジェロ。ボッティチェリから受けたのが、フィレンツェ的伝統、線描の妙、優美な人間像、繊細な彩色。サンタ・フェリチタ聖堂の「受胎告知(1528年)」のマリアは、ボッティチェリの「受胎告知(1488〜89年)」のマリアと同様に複雑な躊躇を表して体を捻っている。「十字架降下(1525〜28年)」は「キリストの死への哀悼(1488〜89年)」の積み上げた人体のピラミッドの構成、その悲しむ人々や「聖母のエリザベツ訪問(1528〜29年頃)」には「春(プリマヴェーラ)(1478年頃)」の三美神からの影響がみられる。
世界美術大全集15 マニエリスム
ポントルモ 3 4 1 人物略歴
左 ポントルモ キリストの磔刑 1526年頃 フレスコ
右 ミケランジェロ 十字架上のキリスト 1494年 木 彩色