コルテス政略誌12
5月半ば「噴煙の鏡」の大祭があり、スペイン人の宿舎の前の神殿でメキシコの貴族が踊っていた。前もってアルバラードに伝えてあったらしいが、そこにスペイン人が突入し、武器を持っていない貴族たちを殺した。人々はスペイン人の宿舎「水の面」の宮殿を取り囲み攻撃を始めたが、モンテスーマの取りなしで攻撃は控えられた。
コルテスがテノチティトランに戻ると、町は異常に静かだった。ナルバエスの軍を加えたことで、コルテスは高慢になっていたらしい。宿舎に入るとモンテスーマに対し乱暴な態度をとった。いずれにしてもアルバラードの失敗だった。食料も充分には届けられていなかった。
事態を解決するためにコルテスはモンテスーマと会い、カカマツィンと共に捕らえているクイトラワク(イスタパラパの君主でモンテスーマの実弟)を反対派のもとに派遣することにした。
首都に残ったアルバラードのアステカ人虐殺
「コディセ・ドゥラン」 古代アステカ王国 中公新書
コルテスがテノチティトランに戻ると、町は異常に静かだった。ナルバエスの軍を加えたことで、コルテスは高慢になっていたらしい。宿舎に入るとモンテスーマに対し乱暴な態度をとった。いずれにしてもアルバラードの失敗だった。食料も充分には届けられていなかった。
事態を解決するためにコルテスはモンテスーマと会い、カカマツィンと共に捕らえているクイトラワク(イスタパラパの君主でモンテスーマの実弟)を反対派のもとに派遣することにした。
「コディセ・ドゥラン」 古代アステカ王国 中公新書
反対派の頭目はモンテスーマのいとこでトラテルロコ区長のクアウテモスツィン(急降下する鷲)。彼はスペイン人を完全に撃滅するまでの間クイトラワクを王の代理とした。新しい王の選出の翌日、6月25日、反対派の攻撃が始まった。早朝コルテスによってタクバに派遣されていた兵士が堤道が閉鎖されていることを知り、偵察に出た400人の兵を連れたデ・オルダスも攻撃されて苦戦の末に戻ってきた。メキシコ人の攻撃は休みなく続けられた。攻撃が始まって5日目、コルテスはモンテスーマに休戦の申し入れを頼んだが、断られた。再びデ・ラ・メルセド神父が派遣され、モンテスーマは包囲軍と話し合うことになった。
防壁の上に盛装したモンテスーマが登った。包囲軍の主だった指導者がモンテスーマを認め、近くに寄ってきた。彼らが話し合いを始めると、スペイン人は防御のための盾を下げた。そのとき石が投げられ、そのうちの3つがモンテスーマにあたり、そのうちの1つは頭にあたった。スペイン兵によって宿舎に運ばれたモンテスーマは食事を摂ることも、治療を受けることも断り6月29日に死亡した。コルテスはモンテスーマの遺体をメキシコ人に渡した。
この後、メキシコ軍の攻撃は激しさを増した。休戦の望みを絶たれたコルテスはボテルロに星による運勢判断を行わせ、30日に脱出することにした。短いタボスの堤道は8カ所の橋が壊されていた。コルテスは携帯用の橋を作り、堤道の隙間の幾つかを土砂で埋めた。30日の午後、倉庫に保管されていた宝物が大広間に積み上げられた。すでに一部は兵士に分配され、ナルバエス軍の買収に使われていたが、それでも金貨70万個に相当すると見積もられる量だった。コルテスは国王の取り分を別にし、残りは兵士たちが各自思い思いに取り分けた。自分の命を救うことを第一に考えたベルナールはいくつかの硬玉を選び取った。かれは「のちにこの硬玉を売ってつくった金のおかげで、わたしは傷の治療をし、生活手段を得ることができた」と記している。
サンドバルとデ・オルダスが前衛、コルテスが中央部隊、アルバラードが後衛となって、深夜脱出が始まった。
大航海時代年表 コルテス11 コルテス13
防壁の上に盛装したモンテスーマが登った。包囲軍の主だった指導者がモンテスーマを認め、近くに寄ってきた。彼らが話し合いを始めると、スペイン人は防御のための盾を下げた。そのとき石が投げられ、そのうちの3つがモンテスーマにあたり、そのうちの1つは頭にあたった。スペイン兵によって宿舎に運ばれたモンテスーマは食事を摂ることも、治療を受けることも断り6月29日に死亡した。コルテスはモンテスーマの遺体をメキシコ人に渡した。
この後、メキシコ軍の攻撃は激しさを増した。休戦の望みを絶たれたコルテスはボテルロに星による運勢判断を行わせ、30日に脱出することにした。短いタボスの堤道は8カ所の橋が壊されていた。コルテスは携帯用の橋を作り、堤道の隙間の幾つかを土砂で埋めた。30日の午後、倉庫に保管されていた宝物が大広間に積み上げられた。すでに一部は兵士に分配され、ナルバエス軍の買収に使われていたが、それでも金貨70万個に相当すると見積もられる量だった。コルテスは国王の取り分を別にし、残りは兵士たちが各自思い思いに取り分けた。自分の命を救うことを第一に考えたベルナールはいくつかの硬玉を選び取った。かれは「のちにこの硬玉を売ってつくった金のおかげで、わたしは傷の治療をし、生活手段を得ることができた」と記している。
サンドバルとデ・オルダスが前衛、コルテスが中央部隊、アルバラードが後衛となって、深夜脱出が始まった。
大航海時代年表 コルテス11 コルテス13