コルテス政略誌10
モンテスーマは神官としての仕事を続けていた。メキシコの宗教ではいろいろな神に食料として生け贄(生きた心臓)を捧げなければならなかった。生け贄を怠ると太陽は昇らず、トウモロコシの種も発芽しないと考えられていた。そのためコルテスに禁じられていたが生け贄を供え続けていた。コルテスが求めているキリスト教への改宗は考えられないことだった。モンテスーマは今までの神々にキリスト教を加えることを考えていたらしい。
宝物庫の財宝を贈る前に、モンテスーマはスペイン人に対し国内の金鉱を視察し評価する許可を与え、また支配下の都市からの貢ぎ物の一部をコルテスに渡すことも約束した。
モンテスーマから宝物を受け取ったコルテスは、まず5分の1を国王のものとし、さらに5分の1を国王の代理人としてのコルテスのものとした。さらにキューバを出るときからの彼の立替金を清算し、有力な部下たちも同様な要求を行った。その後で兵士たちに分配されたが、それはそれまでに全く報酬を受け取っていない兵士たちを幻滅させた。気前のいいモンテスーマと比べてコルテスはずいぶんケチに見えた。モンテスーマは頻繁に黄金などをスペイン人に渡していた。そうすることで十分に金を受け取ったと考えてスペイン人が少しでも早く帰国することを願っていた。
コルテスはモンテスーマに、神殿からメキシコの神々を排除するように要求した。モンテスーマは神官たちと相談し、神殿をスペイン人がキリスト教の礼拝堂として使用することを認めた。 コルテスの要求を受け入れるたびにモンテスーマの権威は落ちていった。
右 いけにえの儀式 フィレンツェの絵文書より
アステカ文明の謎 講談社現代新書 カバーカット
大航海時代年表 コルテス9 コルテス11
宝物庫の財宝を贈る前に、モンテスーマはスペイン人に対し国内の金鉱を視察し評価する許可を与え、また支配下の都市からの貢ぎ物の一部をコルテスに渡すことも約束した。
モンテスーマから宝物を受け取ったコルテスは、まず5分の1を国王のものとし、さらに5分の1を国王の代理人としてのコルテスのものとした。さらにキューバを出るときからの彼の立替金を清算し、有力な部下たちも同様な要求を行った。その後で兵士たちに分配されたが、それはそれまでに全く報酬を受け取っていない兵士たちを幻滅させた。気前のいいモンテスーマと比べてコルテスはずいぶんケチに見えた。モンテスーマは頻繁に黄金などをスペイン人に渡していた。そうすることで十分に金を受け取ったと考えてスペイン人が少しでも早く帰国することを願っていた。
コルテスはモンテスーマに、神殿からメキシコの神々を排除するように要求した。モンテスーマは神官たちと相談し、神殿をスペイン人がキリスト教の礼拝堂として使用することを認めた。 コルテスの要求を受け入れるたびにモンテスーマの権威は落ちていった。
アステカ文明の謎 講談社現代新書 カバーカット
大航海時代年表 コルテス9 コルテス11
神官たちはモンテスーマに「噴煙の鏡」がすべてのスペイン人を死刑にするよう命令を出したと伝えてきた。モンテスーマはコルテスを呼び、戦いになる前にメキシコから退去するように求めた。
コルテスは動揺したが、やがて落ち着き、2つの問題点を挙げた。船がないこととモンテスーマをカルロス1世のもとに連れて行くことだった。明らかにモンテスーマを不安にさせるための返事だった。
コルテスがベラクルスの町に船を作るよう命じると答えると、モンテスーマは大工の派遣を約束し、神官や兵士を自重させ、神々を鎮める努力をすると言った。 スペイン人たちは不安な日々を送っていた。トラシュカーラ人やドーニァ・マリーナも攻撃される恐れがあると報告していた。兵士は武装したまま眠っていた。
コルテスは動揺したが、やがて落ち着き、2つの問題点を挙げた。船がないこととモンテスーマをカルロス1世のもとに連れて行くことだった。明らかにモンテスーマを不安にさせるための返事だった。
コルテスがベラクルスの町に船を作るよう命じると答えると、モンテスーマは大工の派遣を約束し、神官や兵士を自重させ、神々を鎮める努力をすると言った。 スペイン人たちは不安な日々を送っていた。トラシュカーラ人やドーニァ・マリーナも攻撃される恐れがあると報告していた。兵士は武装したまま眠っていた。