大航海時代とルネサンス2018
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コルテス政略誌10

モンテスーマは神官としての仕事を続けていた。メキシコの宗教ではいろいろな神に食料として生け贄(生きた心臓)を捧げなければならなかった。生け贄を怠ると太陽は昇らず、トウモロコシの種も発芽しないと考えられていた。そのためコルテスに禁じられていたが生け贄を供え続けていた。コルテスが求めているキリスト教への改宗は考えられないことだった。モンテスーマは今までの神々にキリスト教を加えることを考えていたらしい。
宝物庫の財宝を贈る前に、モンテスーマはスペイン人に対し国内の金鉱を視察し評価する許可を与え、また支配下の都市からの貢ぎ物の一部をコルテスに渡すことも約束した。
モンテスーマから宝物を受け取ったコルテスは、まず5分の1を国王のものとし、さらに5分の1を国王の代理人としてのコルテスのものとした。さらにキューバを出るときからの彼の立替金を清算し、有力な部下たちも同様な要求を行った。その後で兵士たちに分配されたが、それはそれまでに全く報酬を受け取っていない兵士たちを幻滅させた。気前のいいモンテスーマと比べてコルテスはずいぶんケチに見えた。モンテスーマは頻繁に黄金などをスペイン人に渡していた。そうすることで十分に金を受け取ったと考えてスペイン人が少しでも早く帰国することを願っていた。
コルテスはモンテスーマに、神殿からメキシコの神々を排除するように要求した。モンテスーマは神官たちと相談し、神殿をスペイン人がキリスト教の礼拝堂として使用することを認めた。 コルテスの要求を受け入れるたびにモンテスーマの権威は落ちていった。
右 いけにえの儀式 フィレンツェの絵文書より
アステカ文明の謎 講談社現代新書 カバーカット

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