
ヒエロニムス・ボス 3
幻想的図像は中世の人々の想像力をさぐる手がかりになる。
17世紀始め、フェリペ2世が所蔵するボスの作品を観察したスペイン僧シグエンサは「他のものが人間を外側で捉えて描くのに対して、ボスのみがそれを勇気を持って内側から捉えようとしている」と語っている。
ボスが描く怪物の発想源は、動物、植物、人間の掛け合わせだとされている。この発想はレオナルド・ダ・ヴィンチと似ている。ボスの怪物は断片をつなぎ合わせるだけでなく、一つの生命体として描いている。また当時の疫病に苦しむ人たちの姿の影響もあったとされる。
「快楽の園」では、写本の縁を飾っていたような動物や植物が中心となり、人間は小さな装飾のように描かれている。中央パネルでは魚が空を飛び、鳥たちは水に浮かんでいる。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫「絵の本」構図
人物略歴 ボス1 2
17世紀始め、フェリペ2世が所蔵するボスの作品を観察したスペイン僧シグエンサは「他のものが人間を外側で捉えて描くのに対して、ボスのみがそれを勇気を持って内側から捉えようとしている」と語っている。
ボスが描く怪物の発想源は、動物、植物、人間の掛け合わせだとされている。この発想はレオナルド・ダ・ヴィンチと似ている。ボスの怪物は断片をつなぎ合わせるだけでなく、一つの生命体として描いている。また当時の疫病に苦しむ人たちの姿の影響もあったとされる。
「快楽の園」では、写本の縁を飾っていたような動物や植物が中心となり、人間は小さな装飾のように描かれている。中央パネルでは魚が空を飛び、鳥たちは水に浮かんでいる。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
レオナルド・ダ・ヴィンチの手記 上 岩波文庫「絵の本」構図
人物略歴 ボス1 2
宗教画でも一般的な主題の作品の細部に、不思議な図像が描かれている。「マギの礼拝(1505〜16年頃)」の半裸の王は反キリストとも解されるが、レプラの傷跡がある。「カナの婚宴(1475〜85年頃)」では中央に異国風の衣装を着けた子供が後ろ向きに描かれ、奥には雛壇のような祭壇がある。
「十字架を担うキリスト(1515〜16年頃)」はキリストを取り囲む人物の顔だけで構成されている。周りの人物の表情は誇張され、戯画化されている。ボスの作品では嘲る者の表情が豊かなのに、嘲られる者は反応が見られない無表情。この無表情がよく描かれている梟(フクロウ)とつながりがあるのかもしれない。梟は朝の訪れとともに一瞬にして、賢者から愚者へ転落するとされている。
ボスは、当時の記録では通例に従い「アントニウスの息子、ヒエロニムス」と記されていて、この二人の聖人にこだわりがあったらしい。
制作年は不明だが、初期に諷刺的作品、後期に半身像による宗教的作品が描かれたと考えられていて、中期に幻想的作品が描かれたとされている。
「十字架を担うキリスト(1515〜16年頃)」はキリストを取り囲む人物の顔だけで構成されている。周りの人物の表情は誇張され、戯画化されている。ボスの作品では嘲る者の表情が豊かなのに、嘲られる者は反応が見られない無表情。この無表情がよく描かれている梟(フクロウ)とつながりがあるのかもしれない。梟は朝の訪れとともに一瞬にして、賢者から愚者へ転落するとされている。
ボスは、当時の記録では通例に従い「アントニウスの息子、ヒエロニムス」と記されていて、この二人の聖人にこだわりがあったらしい。
制作年は不明だが、初期に諷刺的作品、後期に半身像による宗教的作品が描かれたと考えられていて、中期に幻想的作品が描かれたとされている。