3つの画面を合わせると縦2m強、横約5mの大作。中央パネルに2頭の獅子（聖マルコ・ヴェネツィアの象徴）に囲まれた「正義」の女性擬人像。王冠をつけ、右手に剣、左手にはかりを持っている。左翼には大天使ミカエル、剣を振り上げ竜を踏みつけている。左手にははかりを持ち、「最後の審判」で人々の魂を計量する役割を示している。右翼には大天使ガブリエル、左手に白百合を持ち、右手は「受胎告知」のように前に伸ばしている。
平和の天使ミカエルは「正義」に、人それぞれの行いに従って報酬（むくい）と罰を与えてくださるように求め、ガブリエルは、現世という暗黒世界で人間愛を持って行動してくださるように願っている。　1420年代

「正義」の背後の巻物には「私は天使たちと聖なる文字が示す警告を実行に移すだろう。そして敬虔なる者、悪人に敵対する者に対しては優しくし、傲慢なる者を軽蔑するだろう」と北方芸術で見られる審判者キリストの言葉が記されている。「正義」はヴェネツィアを象徴している。

ヤコベッロ･デル･フィオーレ　Jacobello del Fiore
「正義」と大天使ミカエルおよびガブリエル
1421年頃　板　テンペラ　208×194cm（中央パネル）
208×133cm（左翼）208×163cm（右翼）
ヴェネツィア　アカデミア美術館
世界美術大全集12　イタリア・ルネサンス2