
キリストの降誕
ヴォルフ・フーバーは1485年頃に生まれ、インスブルックやザルツブルクを遍歴した画家。ミヒャエル・パッハーの作品から影響を受けている。1510年代初めにパッサウに住み、同市の司教の宮廷画家となり、1553年に死去するまでパッサウで創作活動を続けた。アルトドルファーに次ぐドナウ派の巨匠だが、彼の死後ドナウ派の活動は衰えていった。
1515年に生地フェルトキルヒ(オーストリア西部)の聖アンナ同信会から依頼された祭壇画の一枚。木彫を納めた厨子の両翼の内面上下に4面の聖アンナの生涯、外面に4面のキリストの幼年時代が描かれている。「キリストの降誕」は左翼外面の上段。厨子背面に「キリストの死への哀悼」、プレデッラの裏面に作者のイニシャルと1521の年記がある。6年かけて完成したことになる。
人物にはデューラーの木版画「聖母伝」からの借用が、建物の構成にはパッハーやイタリア美術からの影響がみられる。人物の動きはデューラーよりも自由になり、衣襞は豊かになっている。人物を前面に置き、建物・風景を背後において、色彩と光で統一する画面構成はフーバー独特のもの。建物内を斜めから捉えることでダイナミックな画面になっている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
ヴォルフ・フーバー
キリストの降誕
1521年 板 油彩 74×47.3cm
オーストリア ブレゲンツ
フォアアールベルク州立美術館
1515年に生地フェルトキルヒ(オーストリア西部)の聖アンナ同信会から依頼された祭壇画の一枚。木彫を納めた厨子の両翼の内面上下に4面の聖アンナの生涯、外面に4面のキリストの幼年時代が描かれている。「キリストの降誕」は左翼外面の上段。厨子背面に「キリストの死への哀悼」、プレデッラの裏面に作者のイニシャルと1521の年記がある。6年かけて完成したことになる。
人物にはデューラーの木版画「聖母伝」からの借用が、建物の構成にはパッハーやイタリア美術からの影響がみられる。人物の動きはデューラーよりも自由になり、衣襞は豊かになっている。人物を前面に置き、建物・風景を背後において、色彩と光で統一する画面構成はフーバー独特のもの。建物内を斜めから捉えることでダイナミックな画面になっている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
キリストの降誕
1521年 板 油彩 74×47.3cm
オーストリア ブレゲンツ
フォアアールベルク州立美術館
