大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ニクラウス・クラッツァーの肖像

ニクラウス・クラッツァー(1497〜1550頃)はミュンヘン出身の天文学者・数学者。1516年頃イギリスに来て、トマス・モアの子供たちの家庭教師となり、枢機卿トマス・ウルジーにも仕えている。1520年頃から「王の時計学の考案者」としてヘンリー8世に仕官している。卓上の紙に1528年の年記がある。
機械時計は13世紀末(14世紀初め)に発明されたが、日時計は庭園の装飾品として使われていた。クラッツァーは1523年からオックスフォード大学のコーパス・クリスティ・カレッジで天文学の講座を担当していた。多面体の日時計の模型を手にしているが、彼が設計してカレッジの果樹園か庭園に置かれた精巧な日時計になった。その日時計は失われたが、資料はカレッジの図書館に保管されている。1625年の記録によると、文字盤に12本の指針が立ち、それぞれの面にある文字盤で時を決めていた。ヘンリー8世が1545年以前にロンドンのホワイトホール宮につくらせた、庭園の噴水と組み合わされた日時計もクラッツァーが考案したと考えられている。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
ハンス・ホルバイン(子)
ニクラウス・クラッツァーの肖像
1528年 板 テンペラ 83×67cm
パリ ルーヴル美術館