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城のある風景

1938年のアルトドルファー記念展以来「ヴェルト城の見えるドナウ風景」と呼ばれ、アルテ・ピナコテークのカタログにも、地形的にも実風景の正確な描写で、聖俗いずれの情景の背景ともなっていない自律した最初の風景表現、と解説されている。しかし、レーゲンスブルク大学教授のアルトドルファー研究者は、ヴェルト城のあるあたりにこのような風景はないと言っている。画面ではわからないが、川の向こう岸に小さな歩く人物が描かれているらしいし、人間が建てた城は描かれている。ほとんど自然を描くことで、アルトドルファーが理想的な風景を主役とした、新しい芸術を示したとも考えられる。
左右の樹木で場面を区切り、雲が浮かぶ空が画面の多くを占めている。木々の葉にも光が当たり、光を描こうとしたのかもと思ってしまう。羊皮紙に描かれている。直接、外でスケッチすることができたのかも気になる。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1520年代
アルトドルファー
城のある風景
1526〜28年 羊皮紙(板で裏打ち) 30.5×22.2cm
ミュンヘン アルテ・ピナコテーク