マクシミリアン1世は聖ゲオルギウス騎士団の団員に献呈するための祈禱書を作成しようとした。1512年に印刷が始められたが、完成しなかった。テキストを印刷した二つ折りの大型羊皮紙に、木版画の原画となる下絵素描が施された未完の作品が残されている。（ミュンヘン・ブザンソンの図書館）
新しくデザインされた、ドイツ文字の原型となる文字で印刷されたテキストを、多くの美術家が共同で制作した、テキストの行間にまで入り込む周縁装飾が囲んでいる。デューラーが主導し、クラーナハ、ブルクマイヤー、バルドゥング・グリーン、アルトドルファーたちが情景を描いている。しかし、1515年に制作が止まってしまった。祈禱書に付すカレンダーについて、学者たちの意見不一致があったためとされる。
その後忘れられていたが、19世紀初め、石版画によって一部が印刷出版され、ゲーテはその美しさを絶讃した。

聖ゲオルギウス騎士団　1469年先帝フリードリヒ3世とローマ教皇パウルス2世によって設立された。
マクシミリアンは1512年、ニュルンベルクを訪れた際にデューラーを知ったらしい。

1510年代
世界美術大全集14　北方ルネサンス

デューラー　Albrecht Durer
聖ゲオルギウスと竜と骸骨　「皇帝マクシミリアン1世の祈禱書」より
1515年　素描　27.7×19.2cm　モノクロ
ミュンヘン　バイエルン州立図書館
世界美術大全集14　北方ルネサンス