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レーゲンスブルクの「美しき聖母」

1519年に神聖ローマ帝国皇帝マクシミリアンが死去すると、庇護者を失ったユダヤ人たちは同年2月22日にレーゲンスブルクを追放された。シナゴーグは取り壊され。跡地に礼拝堂が建てられた。アルトドルファーはシナゴーグ取り壊しの前日にスケッチし、2枚のエッチングを残している。
礼拝堂に安置されたのが巡礼の目標として有名になった「美しき聖母」。1014年ローマでのハインリヒ2世の皇帝戴冠の際に、教皇ベネディクトゥス8世から贈られた「聖ルカの聖母子」は民衆から崇拝されていた。その聖母子を13世紀にイタリアか南ドイツで模写された「美しき聖母」は現在もレーゲンスブルクのアルテ・カペレに残されている。アルトドルファーは巡礼者を目当てに「美しき聖母」の木版画像を3種類制作している。この作品の対価とみられる金額を1522年に受け取っているので、その間に模写されたものらしい。模写の模写ということ?
明るいマンドルラ(アーモンド形の光背)を背にして立つ聖母子。ビザンティン風イコンを思わせる、珍しい作品。背地の金と朱はセバスティアヌス祭壇画のプレデッラ「キリストの復活」の空の色と共通している。

世界美術大全集14 北方ルネサンス 1510年代
アルトドルファー
レーゲンスブルクの「美しき聖母」
1519〜22年頃 板 油彩 75.8×65cm
レーゲンスブルク ザンクト・ヨハン参事会聖堂