
キリストの埋葬
セバスティアヌス祭壇画のプレデッラのなかに納められていた、聖遺物櫃の扉のような2枚の可動パネルの1枚。
セバスティアヌス祭壇画は16枚のパネルからなる大規模な展開式祭壇画。平日は閉じた状態で両翼上下に4枚の聖セバスティアヌスの殉教、日曜日に両翼を開くと8面のキリスト受難伝、祭日にさらに展開すると厨子の中の木彫立像と両翼裏面の木彫浮彫り(現存しない)が見られたらしい。同じ頃に制作されたイーゼンハイム祭壇画と同じような構成。
記録では、寄進者ペーター・マウラーが首席司祭として着任して7ヵ月後の、1509年4月助司祭によって祭壇が奉納され聖遺物で飾られた。7ヵ月で完成したとは思えないので、このとき奉納されたのは祭壇の祭台だけで、全体が完成したのは「キリストの復活」に記された年記の1518年だったと考えられている。
表出的な賦彩法や解剖学的正確さを無視した人物形態の把握に、イーゼンハイム祭壇画と共通するものがあるが、見る者に迫ってくる感じはない。人々のさまざまな身振りで物語になっている。足を手前にした石棺のキリストの(ぎこちない)短縮法は、ミヒャエル・パッハーの画面から学んだとされている。奥行き感を強め、遠景の山々までつながっている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1510年代
アルトドルファー
キリストの埋葬
1518年 板 油彩 70.3×37.2cm
ウィーン 美術史美術館
セバスティアヌス祭壇画は16枚のパネルからなる大規模な展開式祭壇画。平日は閉じた状態で両翼上下に4枚の聖セバスティアヌスの殉教、日曜日に両翼を開くと8面のキリスト受難伝、祭日にさらに展開すると厨子の中の木彫立像と両翼裏面の木彫浮彫り(現存しない)が見られたらしい。同じ頃に制作されたイーゼンハイム祭壇画と同じような構成。
記録では、寄進者ペーター・マウラーが首席司祭として着任して7ヵ月後の、1509年4月助司祭によって祭壇が奉納され聖遺物で飾られた。7ヵ月で完成したとは思えないので、このとき奉納されたのは祭壇の祭台だけで、全体が完成したのは「キリストの復活」に記された年記の1518年だったと考えられている。
表出的な賦彩法や解剖学的正確さを無視した人物形態の把握に、イーゼンハイム祭壇画と共通するものがあるが、見る者に迫ってくる感じはない。人々のさまざまな身振りで物語になっている。足を手前にした石棺のキリストの(ぎこちない)短縮法は、ミヒャエル・パッハーの画面から学んだとされている。奥行き感を強め、遠景の山々までつながっている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1510年代
キリストの埋葬
1518年 板 油彩 70.3×37.2cm
ウィーン 美術史美術館
