
聖キリアクス 聖女ルチア
1509年にデューラーがヤコプ・ヘラーの注文で制作した「聖母の被昇天と戴冠(1729年に焼失)」をフランクフルトのドミニコ会修道院聖堂に設置した。ヘラーは祭壇画をより壮麗なものにしようと、外側固定翼と上に設置するグリザイユ画とフレスコ画をグリューネヴァルトに描かせた。右の固定翼の上部に聖キリアクス、下部に聖女ルチア、左の固定翼の上部に聖ラウレンティウス、下部に聖女エリザベツが光の明暗法を用いたグリザイユで描かれている。上のフレスコ画は失われている。
外側固定翼は切り離され、19世紀初めに上下に分けられた聖キリアクスと聖ラウレンティウスがフランクフルト市に移管された。1951年に聖女ルチアと聖女エリザベツが発見され、木目調査によってそれぞれの配置が確認された。
キリアクスは4世紀のローマの助祭。皇帝ディオクレティアヌスの娘に憑いた悪霊を祓い清めて厚遇された。図では娘の首に自分のストラ(礼拝の時に首にかける帯)を巻き、右手の親指を娘の顎に強く押し当てて、その口から悪魔を追い出している。聖女ルチアは右手前の地面にあたる強い光から、病んだ目に明るさを取り戻させた聖女とされている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1500年代 ヘラー祭壇画復元図
グリューネヴァルト
聖キリアクス(左)フランクフルト シュテーデル美術研究所
聖女ルチア(右)ドイツ カールスルーエ美術館
1509〜11年 板 グリザイユ 98.8×43.8cm 101.2×43.7cm
外側固定翼は切り離され、19世紀初めに上下に分けられた聖キリアクスと聖ラウレンティウスがフランクフルト市に移管された。1951年に聖女ルチアと聖女エリザベツが発見され、木目調査によってそれぞれの配置が確認された。
キリアクスは4世紀のローマの助祭。皇帝ディオクレティアヌスの娘に憑いた悪霊を祓い清めて厚遇された。図では娘の首に自分のストラ(礼拝の時に首にかける帯)を巻き、右手の親指を娘の顎に強く押し当てて、その口から悪魔を追い出している。聖女ルチアは右手前の地面にあたる強い光から、病んだ目に明るさを取り戻させた聖女とされている。
世界美術大全集14 北方ルネサンス
1500年代 ヘラー祭壇画復元図
聖キリアクス(左)フランクフルト シュテーデル美術研究所
聖女ルチア(右)ドイツ カールスルーエ美術館
1509〜11年 板 グリザイユ 98.8×43.8cm 101.2×43.7cm
