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ラザロの蘇生

「ヨハネによる福音書」第11章に述べられている「ラザロの蘇生」。ペタニアの人ラザロは病気になって、彼の姉妹マリアとマルタはイエスに救いを求めた。イエスがペタニアに着いたとき、ラザロは死んでいて、4日も墓に置かれていた。「わたしはよみがえりであり、命である」と言ったイエスは、墓に入り「ラザロ、出て来なさい」と呼びかけた。「すると、死んでいた人が、手と足を布で巻かれたまま出て来た」。
墓から起き上がったラザロは驚いたように中空を見ている。キリストはその横で祝福を与え、手前ではマリアがひざまずいて祈っている。マルタは3人の使徒たちとキリストの背後に立っている。右側にいるのはユダヤ人たち。悪臭を避けるために鼻にハンカチを当てたり、顔を背けている。真ん中にいるのが聖ペテロ。墓のある戸外に設定されることが多い「ラザロの蘇生」だが、ここでは教会内部に設定されている。教会の代表者として描かれているらしいペテロの左には信仰ある人々、右には信仰をやがて捨ててしまう人々とが対比して描かれている。
アウワーテルの確証ある唯一の作品とされる。マルタの右の使徒の顔が歪んでいるように見えるのが気になる。
1450年代
アルベルト・ファン・アウワーテル Albert van Ouwater
ラザロの蘇生
1455〜60年頃 板 油彩 122×92cm
ベルリン 国立絵画館
世界美術大全集14 北方ルネサンス