ヤン・ファン・エイク初期の作品。左翼に「キリストの磔刑」、右翼に「最後の審判」、中央に「マギの礼拝」があったという記録がある。また右翼は別の画家によるともされている。
「キリストの磔刑」はゴルゴタの丘に登る斜面が描かれている。上部中央に十字架のキリスト、下部には聖母マリアとヨハネたち、中央に描かれているのは無秩序で騒然とした、処刑を終えた兵士たち。彼らによって聖母の悲しみがより深まっている。遠景もヴェネツィアの「キリストの磔刑」を思わせる。
「最後の審判」は天空中央に審判者キリスト、中央に大天使ミカエルが描かれ、上部の天国と下部の地獄が分けられている。地獄には15世紀末にボスによって描かれる、怪物たちと罪人たちによる悪魔的世界が展開されている。
1420年代
世界美術大全集14　北方ルネサンス　小学館

ヤン・ファン・エイク　Jan van Eyck
キリストの磔刑と最後の審判
1420年代半ば〜30年　板（カンヴァスに移行）油彩
各56.5×19.7cm
ニューヨーク　メトロポリタン美術館
制作年は　西洋絵画の巨匠12　ファン･エイク　小学館