
ライオンの三習性
上から「病気になるとサルを食べて治す」
「慈悲深く、ひれ伏し命乞いするものを許してやる」
「弱みの一つが雄鳥で、ひどく怖がっている」
「動物誌」に書かれているライオンの三習性。
人物は引き伸ばされ、衣文は動的で鋭角的。ライオンや植物は自然の姿とは全く異なっている。輪郭線が強調され、ハイライトは装飾的、これらが金地を背景にまとめられている。
「動物誌」は動物の習性・姿に託して聖書の教えや道徳的教訓を記す寓意的文学作品。起源は2世紀ギリシアで編纂された「フィシオロゴス」とされるが、古代末にキリスト教世界に受け入れられ、ラテン語に訳されて聖書、ギリシア哲学などさまざまなテキストが加えられていった。12〜13世紀のイギリスで作られたものが多く残されている。
この写本の巻頭には「創世記」の冒頭部分、巻末には「鳥類誌」が加えられている。イギリス、アバディーンの大学図書館には、テキスト、絵画とも類似した姉妹写本が伝えられている。
13世紀中頃に描かれたヴィラール・ド・オヌクールの「手本帖」に「生きている姿で」描かれたライオンがある。自然の姿を描きたいという意志はあったが、実物を見る機会がなかったということだろうか。
世界美術大全集10 ゴシック2 1200年代後半
ライオンの三習性 「動物誌」より
1210年頃 写本装飾 27.6×18.3cm
イギリス オックスフォード ボードリアン図書館
「慈悲深く、ひれ伏し命乞いするものを許してやる」
「弱みの一つが雄鳥で、ひどく怖がっている」
「動物誌」に書かれているライオンの三習性。
人物は引き伸ばされ、衣文は動的で鋭角的。ライオンや植物は自然の姿とは全く異なっている。輪郭線が強調され、ハイライトは装飾的、これらが金地を背景にまとめられている。
「動物誌」は動物の習性・姿に託して聖書の教えや道徳的教訓を記す寓意的文学作品。起源は2世紀ギリシアで編纂された「フィシオロゴス」とされるが、古代末にキリスト教世界に受け入れられ、ラテン語に訳されて聖書、ギリシア哲学などさまざまなテキストが加えられていった。12〜13世紀のイギリスで作られたものが多く残されている。
この写本の巻頭には「創世記」の冒頭部分、巻末には「鳥類誌」が加えられている。イギリス、アバディーンの大学図書館には、テキスト、絵画とも類似した姉妹写本が伝えられている。
13世紀中頃に描かれたヴィラール・ド・オヌクールの「手本帖」に「生きている姿で」描かれたライオンがある。自然の姿を描きたいという意志はあったが、実物を見る機会がなかったということだろうか。
世界美術大全集10 ゴシック2 1200年代後半
1210年頃 写本装飾 27.6×18.3cm
イギリス オックスフォード ボードリアン図書館
