
キリストの磔刑、十字架降下
12世紀末から13世紀初めにかけて1200年様式と呼ばれる様式がアルプスの北方全域のさまざまなジャンルの作品に現れるという。西欧に継承された古典様式にビザンティンの影響が加わったものとされる。「穏やかな人物の表情、典雅で伸びやかでモニュメンタルな肢体と身のこなし、抑制された運動性と感情、単純明快で秩序正しい構図など」。
十字軍や聖地巡礼によって西欧とビザンティンとの密接な交流があり、輸入された工芸作品やビザンティンの工房で使われていたモデルブック(見本帳)の模写も残されている。
人物の衣服のループ状衣文は布の質感を表し、その中の肉体の存在も感じさせる。各人物は相互の関係が表され、必要な構成要素として描かれている。
数多く紹介するテーマだが、この画像の特徴はキリストの磔刑の両端に描かれた人物。右端の目隠しをされ、冠を落とし折れた錫杖を持つのがユダヤ教会の寓意、左端の居ずまいをただし、キリストを見つめるのがキリスト教会の寓意。中世絵画の約束事でユダヤ教に対するキリスト教の勝利が表現されている。
デンマーク王女アンジュビュルジュ(Ingeburge)は1193年フランス王フィリップ2世(在位1180〜1223)に嫁ぐが、結婚は一夜で破綻した。王女は修道院を転々とし、投獄され、1213年になって和解したとされる。この写本は1195年頃制作とされているが、結婚前後に着手、13世紀になって完成とする説もある。
世界美術大全集10 ゴシック2 1200年代後半
キリストの磔刑、十字架降下 「アンジュビュルジュの詩篇集」より
1195年頃 写本装飾 30.4×20.4cm
フランス シャンティイ コンデ美術館
十字軍や聖地巡礼によって西欧とビザンティンとの密接な交流があり、輸入された工芸作品やビザンティンの工房で使われていたモデルブック(見本帳)の模写も残されている。
人物の衣服のループ状衣文は布の質感を表し、その中の肉体の存在も感じさせる。各人物は相互の関係が表され、必要な構成要素として描かれている。
数多く紹介するテーマだが、この画像の特徴はキリストの磔刑の両端に描かれた人物。右端の目隠しをされ、冠を落とし折れた錫杖を持つのがユダヤ教会の寓意、左端の居ずまいをただし、キリストを見つめるのがキリスト教会の寓意。中世絵画の約束事でユダヤ教に対するキリスト教の勝利が表現されている。
デンマーク王女アンジュビュルジュ(Ingeburge)は1193年フランス王フィリップ2世(在位1180〜1223)に嫁ぐが、結婚は一夜で破綻した。王女は修道院を転々とし、投獄され、1213年になって和解したとされる。この写本は1195年頃制作とされているが、結婚前後に着手、13世紀になって完成とする説もある。
世界美術大全集10 ゴシック2 1200年代後半
1195年頃 写本装飾 30.4×20.4cm
フランス シャンティイ コンデ美術館
