
ロッソ・フィオレンティーノ 2
レオナルドは明暗を重視し、固有色を否定して半陰影の幽玄な雰囲気で画面を構成した。ロッソは鮮明な固有色を主張しながら、明暗効果も求めている。そのためには、明度の異なる色を明部と暗部に置き、色彩の鮮やかさと明暗表現を同時に達成する、「カンジャンテ(玉虫色)」の彩色法を使うしかない。赤い服の陰に紫を置くといった、ミケランジェロが「ドーニ家の聖家族」やシスティーナ礼拝堂天井画で用いた彩色法。ミケランジェロは画面に黒を使わなかったが、ロッソは暗部に黒を多く使っている。
ロッソの作品は、レオナルドの明暗法とミケランジェロのカンジャンテを合わせ、色彩と明暗を強調して異様な印象を与える。「十字架降下(1521年)」の福音書記者聖ヨハネの指、袖、マントは明部の黄色と暗部の茶色で区画され、キリストの顔はミケランジェロの未完の粗彫のように量塊で暗示されている。
かつてロッソの代表作とされていた「モーセとエテロの娘たち(1523年)」は、色彩が弱くロッソの真価は現れていない。しかし空間を無視し、人体を記号的に配置する創作原理は示されている。奥行きが示されない空間に、16世紀の闘争する群像彫刻からイメージされた、彫塑性が強調された人体が置かれている。
ロッソは1530年にフランスに渡っている。
世界美術大全集15 マニエリスム
ロッソ・フィオレンティーノ1 人物略歴
ロッソ・フィオレンティーノ
モーセとエテロの娘たち 1523年
カンヴァス 油彩 160×117cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館 画像 イタリア・ルネサンスの巨匠たち21 東京書籍
ロッソの作品は、レオナルドの明暗法とミケランジェロのカンジャンテを合わせ、色彩と明暗を強調して異様な印象を与える。「十字架降下(1521年)」の福音書記者聖ヨハネの指、袖、マントは明部の黄色と暗部の茶色で区画され、キリストの顔はミケランジェロの未完の粗彫のように量塊で暗示されている。
かつてロッソの代表作とされていた「モーセとエテロの娘たち(1523年)」は、色彩が弱くロッソの真価は現れていない。しかし空間を無視し、人体を記号的に配置する創作原理は示されている。奥行きが示されない空間に、16世紀の闘争する群像彫刻からイメージされた、彫塑性が強調された人体が置かれている。
ロッソは1530年にフランスに渡っている。
世界美術大全集15 マニエリスム
ロッソ・フィオレンティーノ1 人物略歴
モーセとエテロの娘たち 1523年
カンヴァス 油彩 160×117cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
