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錬金術師の工房(22)

ストゥディオーロの装飾は「作業場」と「神話」で構成されている。「作業場」は自然から物質を取り出す実際の作業工程を写実的に描き、「神話」はその物質を用いておこなわれる錬金術を含む魔術的作業を表していると考えられている。
「土」の壁には、大地から金を掘りだす「作業場・金鉱の採掘(4)」と石から生命が生まれたという「神話」が描かれている。「空気」の壁には、空気によって合成されると考えられていた「ダイヤモンドの採掘(15)」と空気を利用した「イカロスの墜落(36)」が描かれている。
また「水」と「火」の壁が主要で、それぞれが錬金術の基本的物質「水銀」と「硫黄」を意味し、錬金術の基本的思想、受動的物質の「水」と能動的エネルギーの「火」を表している。「火」の壁には工房が並び、「水」の壁には水の中から採取される物質(宝)と女性に擬せられた液体による物質の変容が神話のかたちをとって描かれている。
右の「火」の壁にある「錬金術師の工房」は、フランチェスコ1世自身が右下で金属を溶解していることから、彼の工房を描いたとされている。溶解、蒸留、分離、燃焼などの化学的実験器具が並んでいる。
ジョヴァンニ・ストラダーノ
錬金術師の工房
1570〜73年 板 油彩 117×85cm

世界美術大全集15 マニエリスム 1570年代
フランチェスコ1世のストゥディオーロ
ストゥディオーロ 2 羊毛加工
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