大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

四大元素の間

ロレンツォ豪華王やフィチーノの時代には錬金術と占星術が「正統的科学」とされていた。宇宙の根源を元素とその運動(結合・離反)に求め、万物の変化、時の経過、生死を物質の結合離反とそれによる変容に求める宇宙論で、神による万物の創造というキリスト教思想に反するものだった。ルネサンスの新プラトン主義の時代にはキリスト教神学とも融合関係を保っていた。対抗宗教改革の異端審問強化の時代になって、この神秘主義は圧迫された。
パラッツォ・ヴェッキオの3階にはコジモ1世によって錬金術思想をあらわしているとされる「四大元素の間」がつくられている。錬金術思想はコジモ、フランチェスコ、コジモ・バルトリ(四大元素の間の考案者)、ボルギーニ(ストゥディオーロの考案者)と受け継がれていたとも考えられ、ヴァザーリもそれに共感していたのかもしれない。
フランチェスコ1世のストゥディオーロ 1570〜73年
四大元素の間(左 火・ウルカヌス、右 水・ヴィーナス)
ヴァザーリ 1556〜59年 フレスコ
フィレンツェ パラッツォ・ヴェッキオ