大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

愛のアレゴリー

コジモ1世から、フランソワ1世(1547年に死去)に贈られた作品。この複雑な寓意画の解読はパノフスキーの「イコノロジー研究(1962年)時の翁」でおこなわれているが、不明な点も残っている。
中央の宮廷的髪飾りをつけた女性(ヴィーナス)はエヴァの禁断の果実を持ち、アモル(キューピッド)の武器・矢を取り上げようとしている。アモルの下には「愛欲」の寓意であるつがいの鳩(左側は頭だけ)とピンクのクッションがある。画面右には飾りのある足輪をつけた童子がピンクの薔薇の花びら(根をもたないはかない快楽)をもって踊っている。
アモルの背後には髪の毛をかきむしる老婆(嫉妬)、童子の後ろには上半身は処女で下半身が怪獣のスフィンクスがいる。右腕に左手(蜂蜜を持っている)がつき、左腕に右手(蠍を持っている)がついていて、(欺瞞)の寓意だとされる。その足下には愛欲の象徴とされる、シレノスとバッコスの巫女の仮面。
画面上部右では、白い髭で翼をつけ背中に砂時計を載せた「時」が威嚇的に状況を凝視し、その左には仮面をつけた「時」の娘「真理」がいて、エロスの否定面(嫉妬、はかない快楽、欺瞞など)を覆っている青い布を剥がそうとしている。当時のことわざ「時は真理のヴェールを剥ぐ」に由来して、道ならぬ愛欲が「時」によってその真理を剥がされるという観念を描いたとされている。
愛のアレゴリー2 1540年代
ブロンズィーノ
愛のアレゴリー
1540〜45年頃 板 油彩 146×116cm
ロンドン ナショナル・ギャラリー