天国
1574年と1577年に火災に遭ったパラッツォ・ドゥカーレは大評議会広間と隣接する「スクルティニオの間」が被害を受けた。大評議会広間を飾っていたピサネッロ、ベリーニ一族の作品が失われ、正面壁の大フレスコ画グワリエントの「天国(聖母戴冠)」も被災し、現在は断片だけが残されている。共和国政府は再装飾計画に着手し、代表的な画家たちに多くの注文が振り分けられた。
正面の「天国」は1579年まではグワリエント作の保存が検討されていたが、新たな作品を描くための競作が行われ、ヴェロネーゼとF.バッサーノに共同制作が委嘱された。様式の違いもあって制作が進まず、1588年にヴェロネーゼが死去したため、2回目の競作の後ティントレットに注文された。
受胎告知の日に都市が創建されたため、聖母の特別な恩恵にあずかれる、という政治的・宗教的神話があったヴェネツィアの思いを表している。
正面の「天国」は1579年まではグワリエント作の保存が検討されていたが、新たな作品を描くための競作が行われ、ヴェロネーゼとF.バッサーノに共同制作が委嘱された。様式の違いもあって制作が進まず、1588年にヴェロネーゼが死去したため、2回目の競作の後ティントレットに注文された。
受胎告知の日に都市が創建されたため、聖母の特別な恩恵にあずかれる、という政治的・宗教的神話があったヴェネツィアの思いを表している。
頭上の星で、すでに冠を受けた聖母が救世主キリストにヴェネツィアが天上に迎えられるようにとりなしをしている。キリストの右には秤を持った大天使ミカエル(正義)、聖母の左には百合を持った大天使ガブリエル(恩寵)。周りに配された天使や聖人たちは聖母に続くヴェネツィアのための代禱者として現れている。
ヴェネツィア共和国の正当性は、聖母を通じて直接神意によって授けられたという国家神話を表している。
1580年代
ティントレット Tintoretto
天国
1588〜92年 カンヴァス 油彩 700×2200cm
ヴェネツィア パラッツォ・ドゥカーレ 大評議会広間
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3
ヴェネツィア共和国の正当性は、聖母を通じて直接神意によって授けられたという国家神話を表している。
1580年代
天国
1588〜92年 カンヴァス 油彩 700×2200cm
ヴェネツィア パラッツォ・ドゥカーレ 大評議会広間
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3