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パウルス3世とその孫アレッサンドロおよびオッタヴィオ・ファルネーゼ

ティツィアーノが1545年10月から46年6月まで、教皇パウルス3世とファルネーゼ家の招きでローマを訪れた際に描かれた家族肖像画。中央にファルネーゼ家出身の教皇パウルス3世、左に孫で枢機卿のアレッサンドロ、右で教皇に敬意を表しているのがその弟パルマ公オッタヴィオ。ほかに各人の肖像画も描いている。
教皇と二人の孫の関係はあまり良くなかったらしく、教皇の視線は疑っているようにみえる。オッタヴィオは教皇と対抗関係にあった、皇帝カール5世の庶子で寡婦(アレッサンドロ・デ・メディチが暗殺されたため)のマーガレットと政略結婚し、1547年に父親が皇帝の手先によって暗殺されると、祖父の意志に逆らって、皇帝と兄アレッサンドロの後押しで父の地位(パルマおよびピアチェンツァ公)を継いでいる。
作品は未完成で残されていて、ティツィアーノの制作過程を示している。オッタヴィオの身体と手、教皇の下半身には粗描の部分が目立つ。部分と全体のトーンのバランスをとりながら、暗部から明部へ素早く即興的に描いている。
1540年代
ティツィアーノ Tiziano
パウルス3世とその孫アレッサンドロおよびオッタヴィオ・ファルネーゼ
1546年頃 カンヴァス 油彩 200×173cm
ナポリ 国立カポディモンテ美術館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3