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長い首の聖母

1534年にパルマの聖母マリア下僕会の聖堂にある聖母マリア礼拝堂のために委嘱され、優美なマニエラの最高傑作とされる作品。パルミジャニーノも同じ修道会の聖堂に埋葬されている。
ヴァザーリは「芸術家列伝」初版(1555年)では短く記述しているだけだが、第2版(1568年)では、左の天使が持つ壺に十字架が描かれていること、またパルミジャニーノがこの作品に不満で未完成に終わったと記している。
この作品については、聖母の立っているか座っているかわからない姿勢、室内か屋外か不明な場面設定(左上の天蓋は室内、小さい遠景は屋外)、生気が感じられない幼児キリストなど、不思議な要素が多いとされる。ポントルモの「十字架降下(1525〜28)」の重力を感じさせない聖母や「聖母のエリザベツ訪問(1528〜29頃)」の小さすぎる遠景からの影響も指摘されている。
背景の円柱は、ソロモンの「雅歌」から聖母の処女性の象徴とされ、異教の神殿の廃墟とも考えられている。この円柱の右下に影(?)が描かれているが、列柱なのか数が多く、極端に細い。その手前の小さい半裸の男は何を示しているのかわからない。
錬金術と関連する解釈もなされている。錬金術師がキリストを錬金術の最終目的「賢者の石」にたとえることから、錬金術の作業を表しているとも考られている。左の壺に大きく描かれている十字架は伝統的錬金術の図像とされ、聖母の純潔な子宮を水晶の壺、透明な鏡にたとえる図像伝統と結びついたともされる。

世界美術大全集15 マニエリスム 1530年代
パルミジャニーノ
長い首の聖母
1535年頃 板 油彩 216×132cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館