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バーリの聖ニコラウスと聖母

モレット・ダ・ブレーシャはロマニーノの協力者でロレンツォ・ロットの友人だった。穏和で瞑想的な人物で、日常的・自然主義的な多くの宗教画を描いている。
右は1539年にブレーシャのサンタ・マリア・ディ・ミラーコリ聖堂のために制作された作品で、注文主は教師だった。
右側高壇上に幼児キリストと聖母、菱形の舗床に立つ聖ニコラウスが二人の子供を聖母に紹介している。子供たちが持っている司教冠、三つの黄金の玉、聖人の後ろの杖に挟まれた金貨は聖ニコラウスの持物(アトリビュート)。後ろにも二人の子供がいて、一人は本を読んでいる。
聖母子が右上にいる対角線構図の作品はティツィアーノの「ペーザロ家の祭壇画(1519〜26年)」以降一般化されていたが、モレットには珍しい。重厚な大理石壁龕の銀灰色と聖母の赤、聖人のマントと聖母の足下の垂れ布の黒、二人の子供の海緑色、円蓋や垂れ布の縁の輝きなどで絵画的効果が生まれている。日常的で、家族的雰囲気も感じられる作品。
1530年代
モレット・ダ・ブレーシャ Moretto da Brescia
バーリの聖ニコラウスと聖母
1539年 カンヴァス 油彩 245×192cm
イタリア ブレーシャ 市立トージョ・マルティネンゴ絵画館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3