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聖母子と聖人たち(デイ家祭壇画)

1522年ロッソはヴォルテッラからフィレンツェに戻ったが、翌年までペストが流行していた。アンドレアやポントルモはフィレンツェを去ったが、ロッソはフィレンツェに残り、サント・スピリト聖堂のデイ家祭壇画とサン・ロレンツォ聖堂のジノーリ家祭壇画を描いている。
デイ家祭壇画は聖母子と8人の聖人、二人の寄進者が描かれている。1506年に死去した絹と毛織物商人リニエーレ・デイの遺言で、聖ベルナルドゥスに奉献されることになっていた礼拝堂の祭壇画としてラファエロに委嘱されていた。しかし未完のままラファエロがローマに行ってしまいそのままになっていた。現在のデイ家礼拝堂には模写が置かれている。
ヴァザーリはこの作品の色彩と明暗、人物の密集形態を称賛している。前景に座っている聖女カタリナの肩と膝に最も強く光が当たっている。左のペテロの衣服は濃い青だが、右肩と袖口に光が当たり、マントと本には反射光が当たっている。聖母は自分を崇敬する聖ベルナルドゥスを優しく見下ろし、ベルナルドゥスは反射光に包まれて跪いている。その前面には裸体に光を受けている聖セバスティアヌス。ペストから守ってくれる聖人として大きく描かれているらしい。

世界美術大全集15 マニエリスム
1520年代
ロッソ・フィオレンティーノ
聖母子と聖人たち(デイ家祭壇画)
1522年 板 油彩 350×259cm
フィレンツェ ピッティ美術館