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聖母のエリザベツ訪問

1527年の「ローマ劫掠」に続くフィレンツェの共和制蜂起とその鎮圧という動乱の時期に描かれたとされる。構図はデューラーの銅版画「4人の魔女」、木版画連作「聖母伝」の「聖母のエリザベツ訪問」から取られたと考えられている。付き従っている二人の女性はクロパの妻マリアとサロメのマリア。
プロテスタント側の画家にとって、「聖母のエリザベツ訪問」はアンナが象徴する古い教会と聖母が象徴する新しい教会の交代を意味していて、ポントルモはこの作品で教皇クレメンス7世とメディチ家支配を批判したとする説もある。共和制復帰の際に、教皇を偽キリストとするサヴォナローラの話が甦ったという報告もある。背景の建物が非現実的だともされるが、フィレンツェの市街で、左後ろはミケランジェロの城塞を暗示いているとする説もある。
カルミニャーノの城主で反メディチ派、1540年にコジモによって絞首刑にされた、ピナドーリが個人的礼拝堂のために依頼したとする説が出された。1677年のこの作品についての最初の記述によると、ピナドーリ家の別荘に置かれていた。教会の交代という説も聖母マリアの眼差しの輝きや強さ、アンナの悲しみに満ちた老いの表情からもうかがえる。
メディチ派のヴァザーリはこの作品については記していない。

世界美術大全集15 マニエリスム
1520年代
ポントルモ
聖母のエリザベツ訪問
1528〜29年頃 板 油彩 202×156cm
イタリア カルミニャーノ サン・ミケーレ教区聖堂