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キリストの降誕

ブレーシャのサン・ジュゼッペ聖堂に置かれていた祭壇画。聖堂が廃絶されたため、1869年に現在の絵画館に入った。17世紀の文献にロマニーノの傑作として記録されている。18世紀から修復が進められているが、保存状態は悪い。とくに左側の中程、ヨセフと羊飼いの部分。
ロマニーノの作品のなかで調和と均整がとれた作品。簡潔な構成と宗教的・内面的雰囲気でモレット作と考えられたこともあった。ティツィアーノを思わせる暖かな色彩、ジョルジョーネ風の夕暮れの風景、上方で舞う天使たちにはポルディノーネからの、ロンバルディアの伝統、銀灰色の光沢など、さまざまな要素を採り入れながら独自の世界を作り出している。
聖母のマントの輝きはヴィンチェンツォ・フォッパ以来のロンバルディア絵画の伝統だが、サヴォルドの襞の多い硬質な感じではなく、羽毛のような柔らかな質感はロマニーノ独自のもの。
1520年代
ロマニーノ Romanino
キリストの降誕
1525〜30年 カンヴァス 油彩 241×180cm
イタリア ブレーシャ 市立トージョ・マルティネンゴ絵画館
世界美術大全集13 イタリア・ルネサンス3