大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

ガラティア

シエナの銀行家で教皇庁の財政にも関わっていたアゴスティーノ・キージは、1505〜08年頃バルダッサーレ・ペルッツィに設計を依頼して邸館を建造した。(のちにファルネーゼ家の所有となりヴィッラ・ファルネジーナと呼ばれる)
キージはその内外を異教的主題の壁画で飾ることにして、ミケランジェロを除くローマで活動していた画家たちが装飾に参加した。中心になったのは宴会用の広間。天井はペルッツィによる十二宮図、側壁には大地と海の神々が描かれた。キージがヴェネツィアから連れて来た、セバスティアーノ・デル・ピオンボが「イカロスの墜落」「ポリュフェモス」を描いたが、キージはそれが気に入らなかったらしく「ガラティア」はラファエロに委ねられた。
ガラティアの物語はローマ時代のオウィディウスの「変身譚」に詳しく記されているが、この場面はポリツィアーノの詩篇「騎馬試合(ラ・ジョストラ)」に基づいているらしい。法螺貝を吹くトリトンやネレイスらに囲まれてガラティアは二輪車に乗って水上を行進している。この海のニンフは当時から「アレクサンドリアの聖女カタリナ(1508年頃)」と信仰を異にする姉妹だと言われたと伝えられている。
1510年代
ラファエロ Raffaello
ガラティア
1511年頃 フレスコ 295×225cm
ローマ ヴィッラ・ファルネジーナ
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2