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フォリーニョの聖母

ラファエロがローマで描いた最初の大型祭壇画。教皇庁の秘書官として30年間務めていた、人文学者が死を前に注文したもの。ローマのフランチェスコ会の本拠、カンピドリオの丘のサンタ・マリア・イン・アラチェリ聖堂の主祭壇に置かれていた。16世紀半ばに注文者の姪の尼僧によって故郷フォリーニョに移され、1797年にはナポレオンによってフランスに運ばれた。後にイタリアに戻され、ヴァティカーノ宮に収められた。
小天使たちがひしめく青い雲間に、黄金の円盤を背に雲の玉座に座る聖母子はアラチェリ(天上の光輝)という聖堂名と結びついている。地上には左に洗礼者ヨハネと聖フランチェスコ、右では聖ヒエロニムスが寄進者(注文者)を聖母に紹介している。中央のプット(裸童)が持つ銘板には何も書かれていない。
この作品にも他の画家からの影響が見られるとされている。聖母のポーズにはレオナルドの「マギの礼拝(1481〜82)」、キリストのポーズにはミケランジェロの「ドーニ家の聖家族(1503〜04)」、建物への光の反映にジョルジョーネの「嵐(ラ・テンペスタ 1506年頃)」。
1510年代
ラファエロ Raffaello
フォリーニョの聖母
1511〜12年 板(現在はカンヴァスに移行) 油彩 320×194cm
ヴァティカーノ絵画館
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2