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ハルピュイアの聖母

アンドレア・デル・サルトの代表作でサン・フランチェスコ聖堂の修道院からの依頼で制作されたもの。初めの予定は聖母子の上に二人の天使、左右に福音書記者聖ヨハネと聖ボナベントゥーラを配するものだった。
アンドレアは天使をプット(左側のプットには羽根がある)に代えて下から聖母子を支えるようにし、聖ボナベントゥーラを聖フランチェスコ(左側)に代えている。妻ルクレツィアをモデルにしたとされる聖母マリアは幼児キリストを抱いて、怪物が彫られた六角形の台座に立っている。
この作品名は、ヴァザーリが台座の怪物をハルピュイアとしたことによっている。ハルピュイアはギリシア神話の怪物で、死者の魂を運ぶ役割で墓に刻まれることが多かった。ほかにスフィンクス(聖母の処女懐胎、キリストへの神の顕現の象徴)、イナゴ(ヨハネの黙示録に記されている)とする説もある。
修復で発見された聖母子の左側上部の黒いものが「黙示録」に記された煙だとすると、この作品は世界の終末を表している、とされている。
1510年代
アンドレア・デル・サルト Andrea del Sarto
ハルピュイアの聖母
1517年 板 油彩 207×178cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2