キリストの受肉と諸聖人
礼拝図像として「キリストの受肉」というテーマは15世紀では珍しい。マリアは「受胎告知」の浮彫のある台座に立ち、腹に手を当てて受胎を示唆し、天を仰ぎ神の光と聖霊の鳩による祝福を受けている。
前景左にはアレクサンドリアの聖女カタリナ(殉教者の棕櫚を持ち、足元には受難具・車輪の破片が見える)、右にはアンティオキアの聖女マルガリータ(持物の十字架と真珠の数珠を持つ)。カタリナの後ろには福音書記者聖ヨハネ(背後に象徴の鷹)と聖フィリッポ・ベニッツィ(聖母の純潔の象徴白百合)、マルガリータの後ろにはフィレンツェ大司教の聖アントニーノと聖ペテロ(教会の鍵を持つ)が並び「聖会話」の構図になっている。
フィリッポ・ベニッツィはこの祭壇画が置かれていたサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂を本拠とする聖母マリア下僕会の13世紀の指導者。当時の修道院長の肖像が描かれているらしい。ペテロは画家と同じ名前(ピエロ=ピエトロ)なので自画像だとされる。
背景左には「キリスト降誕(羊飼いの礼拝)」、右には「エジプトへの逃避」が描かれている。ヴァザーリが指摘している「奇妙な風景」や「風変わりな樹木」も見られる。ピエロ・ディ・コジモ Piero di Cosimo
キリストの受肉と諸聖人
1500〜10年頃 板 油彩 206×172cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
1500年代
前景左にはアレクサンドリアの聖女カタリナ(殉教者の棕櫚を持ち、足元には受難具・車輪の破片が見える)、右にはアンティオキアの聖女マルガリータ(持物の十字架と真珠の数珠を持つ)。カタリナの後ろには福音書記者聖ヨハネ(背後に象徴の鷹)と聖フィリッポ・ベニッツィ(聖母の純潔の象徴白百合)、マルガリータの後ろにはフィレンツェ大司教の聖アントニーノと聖ペテロ(教会の鍵を持つ)が並び「聖会話」の構図になっている。
フィリッポ・ベニッツィはこの祭壇画が置かれていたサンティッシマ・アンヌンツィアータ聖堂を本拠とする聖母マリア下僕会の13世紀の指導者。当時の修道院長の肖像が描かれているらしい。ペテロは画家と同じ名前(ピエロ=ピエトロ)なので自画像だとされる。
背景左には「キリスト降誕(羊飼いの礼拝)」、右には「エジプトへの逃避」が描かれている。ヴァザーリが指摘している「奇妙な風景」や「風変わりな樹木」も見られる。
キリストの受肉と諸聖人
1500〜10年頃 板 油彩 206×172cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1