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蝋燭の聖母(カメリーノ大聖堂の多翼祭壇画)

クリヴェッリ最晩年の作品。カメリーノの大聖堂サンタ・マリア・マッジョーレ聖堂主祭壇のために描かれた多翼祭壇画の中央パネル。署名に1490年に受けた「騎士」の称号が付されていることから制作年が推定されている(市民的地位の高さを示している。本文のミレス(miles)に相当する文字は見られない)。1799年の地震で大聖堂が崩壊し、祭壇画は同市のサン・ドメニコ聖堂に移された。現在4枚残るパネルはブレラとヴェネツィアのアカデミア美術館に収められ、プレデッラは各地に散在している。
古典的構図で描かれていて、動きのある幼児キリストを除き厳格な正面性を持っている。周りに装飾的な花綱を配することで、時代と地域の好みに対応している。作者特有の金属的質感だが、聖母の足下にある花瓶は釉薬をかけた陶器に金彩が施されている。
通称は画面下部の署名の左にある信仰の光明と慈愛の熱情を象徴する蝋燭によるもの。画面に描かれている「静物」はそれぞれに象徴的意味があって聖母子の運命を予告している。
百合と白薔薇(純潔)、赤薔薇(殉教の血)、サクランボ(キリストの血)、胡瓜(処女懐胎とキリスト復活)、林檎(原罪と贖罪)、梨(徳と真実)。
1490年代
クリヴェッリ Crivelli
蝋燭の聖母(カメリーノ大聖堂の多翼祭壇画)
1492年 板 テンペラ 218×75cm
ミラノ ブレラ絵画館
世界美術大全集12 イタリア・ルネサンス2