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婦人の肖像

ネロッチョ・ディ・ランディ(1447〜1500)シエナの良い家柄に生まれる。ヴェッキエッタのもとで修業し、はじめはフランチェスコ・ディ・ジョルジョ・マルティーニと組んで仕事をしていた。フランチェスコがシエナを離れ彫刻家・建築家として活動したのに対し、ネロッチョは一度ルッカへ行っただけでシエナに残り貧困のまま世を去った。身の回りの品と、師ヴェッキエッタの聖母像1点を遺しただけだった。
画家としてはフランチェスコよりも独創性がある。このシエナ美人の典型のような肖像画には下に銘文があり、その両脇にA.PとNERというイニシャルが記されている。NERはネロッチョのことだとされるが、A.Pについては、教皇ピウス2世の一族の娘で、アクィラの領主と結婚したアレッサンドラ・ピッコローミニとする説がある。
銘文は「驚くべき器用さで人間の業の頂点に達するにもかかわらず、私は失敗すべく運命づけられている。死すべき運命の私は、私の芸術を神のそれと戦わせる」
1490年代
ネロッチョ Neroccio
婦人の肖像
1490年頃 板 テンペラ 46.5×30.5cm
ワシントン ナショナル・ギャラリー
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1