ヤコポの長男ジェンティーレは優れた肖像画家として知られ、1479年には共和国政府からオスマン･トルコに派遣された。メフメット2世の肖像などを描き厚遇されて1480年に帰国している。
1477年から始め帰国後も描いていた，ヴェネツィアのパラッツォ･ドゥカーレのための物語画、大型カンヴァス画は1577年の火災で消滅してしまった。
ヴェネツィアの福音書記者聖ヨハネ同信会にはキプロス王国の宰相から贈られた聖十字架があって人々の尊崇を受けていた。15世紀末、この同信会は聖十字架の奇跡についての絵画を代表的な画家に依頼し、10点が同信会館の広間に飾られた。ジェンティーレは上図を含む3点を制作し、カルパッチョも「聖十字架遺物の奇跡」を制作している。

キリスト聖体の祭日にサン・マルコ大聖堂前の広場で聖十字架遺物の顕示台を担った聖ヨハネ同信会の人々と、それぞれの聖遺物を捧げて参加している他の同信会の人々。
詳細に描かれているため参加者の個人名が指摘されることもあるし、サン・マルコ大聖堂の16世紀の改修前の姿を伝えてもいる。ウッチェロのモザイク装飾など。
1490年代

ジェンティーレ・ベリーニ　Gentile Bellini
サン･マルコ広場での聖十字架遺物の行列
1496年　カンヴァス　テンペラ　367×745cm
ヴェネツィア　アカデミア美術館
世界美術大全集13　イタリア・ルネサンス3