誹謗
ヴァザーリがボッティチェリ伝の末尾で、画家が親友のために制作して自ら贈った作品として紹介しているもの。
アーチ構造の古代風の建物、その広間で青と白の衣裳を着けた女性「誹謗」が乞食のような黒衣の男「憎悪」に左手を引かれ、合掌する裸体の若者「無実」の髪を右手でつかんで審問官の前に引き出そうとしている。「誹謗」の背後では二人の侍女「欺瞞」と「嫉妬」が「誹謗」の髪や装身具を整えている。
右側壇上にはミダス王を想わせるロバの耳をもった審問官「不正」、その耳に二人の女「無知」と「猜疑」が何事かを吹き込んでいる。
左側では痩せた裸身の女性「真実」が天を指さし、喪服姿の老婆「悔悟」が「真実」を見つめている。
1490年代
アーチ構造の古代風の建物、その広間で青と白の衣裳を着けた女性「誹謗」が乞食のような黒衣の男「憎悪」に左手を引かれ、合掌する裸体の若者「無実」の髪を右手でつかんで審問官の前に引き出そうとしている。「誹謗」の背後では二人の侍女「欺瞞」と「嫉妬」が「誹謗」の髪や装身具を整えている。
右側壇上にはミダス王を想わせるロバの耳をもった審問官「不正」、その耳に二人の女「無知」と「猜疑」が何事かを吹き込んでいる。
左側では痩せた裸身の女性「真実」が天を指さし、喪服姿の老婆「悔悟」が「真実」を見つめている。
1490年代
複雑な寓意に満ちた主題は、紀元前1世紀のギリシアの風刺詩人ルキアノスの記述によるもの。大画家アペレスはライヴァルによってパトロンのエジプト王プトレマイオスに反逆を企てていると非難される。アペレスは弁明を行った後「ラ・カルンニア(誹謗)」と題する絵を描き、その内容をルキアノスが記述している。
ボッティチェリは友人に贈るという私的な目的から、テキストに独自の解釈を加えながら、古代の名画の復元を試みたとされている。周囲に配された彫像やレリーフに付いての記述はなく、聖書や神話などから画家が採りいれたものらしい。
ボッティチェリ Botticelli
誹謗
1490年代前半 板 テンペラ 62×91cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
ボッティチェリは友人に贈るという私的な目的から、テキストに独自の解釈を加えながら、古代の名画の復元を試みたとされている。周囲に配された彫像やレリーフに付いての記述はなく、聖書や神話などから画家が採りいれたものらしい。
誹謗
1490年代前半 板 テンペラ 62×91cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1