マルケ地方ファブリアーノの聖堂のために描かれた行列旗で、裏面には「授乳の聖母（ミラノ　ブレラ絵画館）」が描かれていたとされる。装飾帯に「OPVS LVCE CORTONENSIS コルトーナ人ルカの作品」の署名がある。
キリストの姿勢や円柱上の彫像などはピエロ･デッラ･フランチェスカの作品から受け継いだとされるが、ピエロの奥行きのある空間構成とは違い、遠近感はほとんど意識されていない。
キリストのほか鞭打つ刑吏たちも裸で、筋肉と動きの表現が強調されている。このようなダイナミックな人体表現はフィレンツェのアントニオ･デル･ポッライウォーロなどから影響を受けているとされるが、シニョレッリの好みとも合ったらしく、オルヴィエート大聖堂で大きく展開されることになる。
1480年代

シニョレッリ　Signorelli
キリストの鞭打ち
1480年代前半　板　テンペラ　油彩　80×60cm
ミラノ　ブレラ絵画館
世界美術大全集11　イタリア・ルネサンス1