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聖母子と聖ヒエロニムス、聖ドミニクス

フィレンツェのサン・パンクラツィオ聖堂内サン・ジローラモ礼拝堂のためにルチェッライ家によって注文された祭壇画。
聖母子を複数の聖人が囲む「聖会話」だが、人物を野外に配する特異な設定になっている。授乳の聖母子の左に、悔悛者姿で半裸の聖ヒエロニムス(イタリア語ではサン・ジローラモ)が石を持ってひざまずき、右では白百合(純潔の象徴)を持った聖ドミニクスが本を読んでいる。
ヒエロニムスはこの礼拝堂がこの聖者に捧げられているからで、ドミニクスはこの聖堂の施療院の創設と関係があったためらしい。
遠景左ではライオンと熊が争っているが、その奥で聖ヒエロニムスが祈っている。聖母の右奥にはロバを連れて旅するヨセフ。
聖母はボッティチェリの女性像を引き継いでいるが、ヒエロニムスの内面的情念を現している表現主義的人物形象や、前景人物と呼応する幻想的風景などにフィリッピーノの個性が現れている。
プレデッラは5面、中央に「ピエタ」、右に「マグダラのマリア」左に「聖フランチェスコ」、両端にルチェッライ家の紋章。
1857年にロンドン・ナショナル・ギャラリーに売却された。
1480年代