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聖ベルナルドゥスの幻視

フィレンツェ郊外カンポーラ・ア・マリニョッレ修道院の礼拝堂のために注文された祭壇画。1529年にフィレンツェ市内、同じベネディクト会のバディアの聖堂に移された。
聖ベルナルドゥス(クレルヴォーのベルナール)は12世紀のシトー会の修道士で、フランスのクレルヴォーに修道院にを設立した、神学者・神秘家。「黄金伝説」によると、彼が聖母讃美の書を執筆していた時に聖母が2度現れ、彼に乳を与えて力づけたとされる。
場面は執筆中の聖ベルナルドゥスの前に、聖母が4人の天使を連れて降り立ったところ。
白いシトー会の修道服のベルナルドゥスは恍惚とした表情に驚きを表している。聖母は書物の上に手を置き、何か示唆を与えている。二人の間の開かれた聖書は「ルカによる福音書」受胎告知の部分。中景では二人の修道士が驚き、その右では二人が論争している。ベルナルドゥスの背後には鎖につながれた悪魔とフクロウが異端者を暗示して描かれている。
前景右には寄進者、聖母は彼の妻、天使は彼の子供たち、合掌する天使はフィリッピーノの肖像になっているとも伝えられる。
ボッティチェリ風の聖母や天使、積み上げられた書物のフランドル風の緻密な描写、奇想に富んだ空間や幻想的な風景表現にフィリッピーノの個性が見られ、初期の代表的傑作とされる。
1480年代
フィリッピーノ・リッピ Filippino Lippi
聖ベルナルドゥスの幻視
1484〜86年頃 板 テンペラ 210×195cm
フィレンツェ バディア
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1