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聖母戴冠と四聖人(サン・マルコ祭壇画)

フィレンツェの鍛冶師組合が守護聖人、聖エリギウスに捧げてサン・マルコ修道院内に新しく建立した礼拝堂のために、1488年に発注し、1490年には完成したとされる祭壇画。ボッティチェリ最大の板絵作品で、この主題の伝統的形式を天上と地上に分けることで先へ進め、ラファエロの「聖母戴冠」「聖体の論議」に先駆けたともされる作品。
天上では、死後昇天した聖母マリアが三重冠をつけた父なる神から黄金の冠を受けている。二人の間から黄金の光が周囲に発出し、上部には赤いセラフィムとケルピムが二重の環をなし、両側には赤と白の薔薇の花を抱えた天使が二人ずつ配されている。神と聖母を乗せた白雲を囲んで、色とりどりの衣裳を着けた12人の天使たちが輪舞している。
地上の四聖人は、左から福音書記者聖ヨハネ、聖アウグスティヌス、聖ヒエロニムス、聖エリギウス。ヨハネは左手を挙げて上天を見つめ、右手で本を開き目にした光景を伝えている。アウグスティヌスは見た光景を書物に書き記し、赤い帽子と赤い衣裳のヒエロニムスは上天を見つめ右手を胸に当てている。エリギウスは信者たちの方に目を向け、右手をあげて祝福している。
長い期間をかけて修復された作品らしい。
1480年代
ボッティチェリ Botticelli
聖母戴冠と四聖人(サン・マルコ祭壇画)
1488〜90年 板 テンペラ 378×258cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1