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剛毅

1470年に商業裁判所のために描かれた七徳擬人像のひとつ「剛毅」。ボッティチェリの制作年が確実な最初の作品。
キリスト教徒が守るべき3つの対神徳(信仰、希望、愛)と4つの枢要徳(節制、賢明、正義、剛毅)の寓意像、七徳擬人像はピエロ・デル・ポッライウォーロに委嘱されていた。4点が完成した頃、裁判所参事で、メディチ家とも親しいトンマーゾ・ソデリーニが介入、残り3点のうち2点をボッティチェリに制作させようとしたらしい。しかし、画家組合の画家たちの精力的な抗議によって「剛毅」1点に変えられたとされる。
武具に身を固め、「剛毅」の持物、笏杖を持つ戦士像は、当時の金工技術による青いエナメルや金属の光沢を表しながら、視線を斜め下に向け、夢想する少女のように描かれている。大理石の玉座に、やや前のめりに、つま先立って座っている少女の顔と身振りに表れている活力は、伝統的な寓意像に加えられた作者の個性によるもの。ボッティチェリが新進作家として認められ始めた頃の作品。 
ボッティチェリ Botticelli
剛毅
1470年 板 テンペラ 167×87cm
フィレンツェ ウフィツィ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
イタリア・ルネサンスの巨匠たち14 ボッティチェリ
1470年代