大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

薔薇園の聖母

ボッティチェリがフィリッポ・リッピのもとでの修業を終え、フィレンツェでヴェロッキオ工房の協力者として活動し始めた頃に描かれた作品。
聖母子はビザンティン以来の「エレウーサ(愛撫)の聖母」、リッピの抒情性豊かな母子像を受け継ぎ、聖母の憂いを含んだ表情には未来の運命への怖れも表されている。洗礼者聖ヨハネは少年だが、駱駝の衣を着、十字架形の笏杖を持って、幼児キリストの未来を暗示している。背後の白薔薇は聖母の純潔を、赤薔薇は殉教者の血を表している。
リッピから受け継いだ聖母の表情やヴェールの描き方に、明暗による肉付けというフィレンツェ派的な造形が見られる。幼児キリストの顔、弾力的なポーズや衣裳、ヨハネの小さく尖った顎にヴェロッキオの影響が見られるとされる。 
ボッティチェリ Botticelli
薔薇園の聖母
1468年頃 板 テンペラ 93×69cm
パリ ルーヴル美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
1460年代