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聖トマスの懐疑 オルサンミケーレ聖堂

1466年に商業裁判所からオルサンミケーレ聖堂壁龕に設置するために委嘱された作品。商業裁判所が壁龕の権利を買い取ったため、それ以前に設置されていたグェルフィ(教皇)党のドナテッロ作「トゥールーズの聖ルイ(鍍金ブロンズ像)」の代わりに発注されたもの。
この時期ヴェロッキオはまだブロンズ彫刻制作の経験がなく、商業裁判所の評議員メンバーだったピエロ・デ・メディチの強力な推しがあったと思われる。
1479年頃までにキリスト像が完成、1483年6月には聖トマス像が壁龕に設置されている。1480年ヴェロッキオは大聖堂裏の大聖堂造営局に接する、ドナテッロの旧工房に仕事場を移している。
完成までに時間を要したが、15世紀彫刻の到達点を示す作品になっている。壁龕の枠を越えた群像配置(トマスの足)、ポーズとジェスチュアによる心理的物語表現、解剖学的に把握された人体と、複雑な動きを示す衣襞表現など、16世紀的な古典様式を先取りしている。

1460年代

ヴェロッキオ Verrocchio
聖トマスの懐疑
1466〜83年 ブロンズ
キリスト像の高さ 230cm
フィレンツェ オルサンミケーレ聖堂
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
フィレンツェの美術上巻 日本放送出版協会