ヘラクレスとアンタイオス
1492年のロレンツォ・イル・マニフィコの遺産目録に記録されている作品。パラッツォ・メディチにあった同主題のカンヴァス画の小型レプリカとほぼ同じポーズだが、アントニオの彫刻表現の斬新性を示している。
格闘する二つの裸体、肉体エネルギーの衝突、隅々まで張りつめた神経、視角の変化によって揺れ動く輪郭線。作者の関心は精神性とは別の、肉体の運動と暴力的な生命力に向けられている。
1460年代
ヴァザーリは15世紀で初めて死体解剖を行ったと伝えているが、人体構造への自然主義的関心は、レオナルド、ミケランジェロへと受け継がれていく。
ヘラクレスとアンタイオス
1465〜75年頃 ブロンズ 高さ46cm
フィレンツェ バルジェッロ美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1
フィレンツェの美術下巻 日本放送出版協会