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聖母子(ベレンソン・コレクション)

署名、記年のない板絵。1900年にはバルドヴィネッティ作とされていたが、20世紀になってドメニコ・ヴェネツィアーノとする説が広く認められるようになった。
豪華な織布を背にクッションに座る幼児キリストに小さな花を差し出している聖母。聖母の手つき、幼児の両足はペルージャにあるファブリアーノの「柘榴の聖母子」と似ていて、布地表現にみられる刻線・刻点といった工芸的技法にもファブリアーノとの関係が示されている。
聖母やイエスの透明で滑らかな肌や顔の描写は、聖母子と諸聖人(1440年代後半)と近いものがあるが、イエスの身体の柔らかさ、四肢の動きの柔軟さには乏しい。
制作年はヴェネツィアーノがフィレンツェに到着した1431年から1455年頃の作とするいくつかの説がある、ここでは1440年代後半としている。
1440年代

ドメニコ・ヴェネツィアーノ Domenico Veneziano
聖母子
1440年代後半 板 テンペラ 86×61.5cm
フィレンツェ ヴィッラ・イ・タッティ
(ベレンソン・コレクション)
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1