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オリーヴ山での祈り

ロレンツォ・モナコは修道士で画家、15世紀初めマザッチョが現れる前のフィレンツェで大工房を構えていた。
1370/71年シエナで生まれ、1390年フィレンツェのサンタ・マリア・デッリ・アンジェリ修道院に入門している。この修道院は写本画家たちの画校として知られていて、1391年ロレンツォはドン・ロレンツォと改名して修道士になっている。彼の作品として、1394〜95年の同修道院のための聖歌集が伝えられているが、従来からのオルカーニャ様式が薄れ、入念で繊細優雅な描写が見られる。修道院に入門以前から美術活動をしていたとする説もある。
1402年に医師・薬種商組合に画家として登録され、修道士のままフィレンツェ市内に大きな工房を開いている。豪華な写本、祭壇画、壁画などを制作し、聖俗両世界で美術活動を行った。
1405年頃までが活動の初期とされる。この時期を代表する作品は「オリーヴ山での祈り(右図)」とエンポリの三連祭壇画。「オリーヴ山での祈り」ではキリストと使徒ペテロ・ヤコブ・ヨハネを対角線上に分け、間に岩山が描かれている。(左下の寄進者?が気になる)アーニョロ・ガッディのサンタ・クローチェ聖堂内陣壁画からの影響があるとされている。
1404年のエンポリの三連祭壇画では、聖母子の姿態は魅惑的なリズムを成し、輪郭線は柔らかさを増し明暗も微妙に施されている。ギベルティの洗礼堂北側門扉の試作品の影響があるとされる。1404年にスペインから帰国したゲラルド・スタルニーナが伝えた「国際ゴシック様式」からの影響もあり、中期の活動へとつながっていく。

1400年代
ロレンツォ・モナコ Lorenzo Monaco
オリーヴ山での祈り モノクロ
1405年以前 板 テンペラ 191×112cm
フィレンツェ アカデミア美術館
世界美術大全集11 イタリア・ルネサンス1