聖家族
額縁の下に「1342年にシエナ出身のシモーネわれを描く」という署名と年記がある。シモーネ最晩年の作品としても、主題のユニークさでも注目される作品。
イエスは書物を手に腕組みをし、ヨセフはその肩に手をかけ、マリアの方へ誘っている。マリアが開いている聖書には「ルカによる福音書」の一節「息子よ、なぜこんなことをしてくれたのです」が見える。
12才のイエスが過越の祭りで両親とエルサレムに行ったときの話。帰って来た両親はイエスがいないことに気づく。イエスを探す両親は3日後、エルサレムの神殿で学者たちと議論するイエスを見つける。その時のマリアの言葉。
神殿から帰ったイエスを両親が迎える場面という珍しい主題。「教訓化聖書」(1220年頃)の記述を基に、両親に従う必要を説いたもの、とされていたが、最近逆の解釈が出され、広く受け入れられているという。謙遜する聖母がイエスに対し敬意を表している、という解釈。
この作品はアヴィニョンで描かれている。気になるのは画面を狭くしてしまう程の縁飾り。人物もゴシック風でシモーネらしさが見られない。他の作品との整合性が求められたのかもしれない。
1340年代
シモーネ・マルティーニ Simone Martini
聖家族
1342年 板 テンペラ 49.6×35.1cm
イギリス リヴァプール ウォーカー美術館
世界美術大全集10 ゴシック2
イエスは書物を手に腕組みをし、ヨセフはその肩に手をかけ、マリアの方へ誘っている。マリアが開いている聖書には「ルカによる福音書」の一節「息子よ、なぜこんなことをしてくれたのです」が見える。
12才のイエスが過越の祭りで両親とエルサレムに行ったときの話。帰って来た両親はイエスがいないことに気づく。イエスを探す両親は3日後、エルサレムの神殿で学者たちと議論するイエスを見つける。その時のマリアの言葉。
神殿から帰ったイエスを両親が迎える場面という珍しい主題。「教訓化聖書」(1220年頃)の記述を基に、両親に従う必要を説いたもの、とされていたが、最近逆の解釈が出され、広く受け入れられているという。謙遜する聖母がイエスに対し敬意を表している、という解釈。
この作品はアヴィニョンで描かれている。気になるのは画面を狭くしてしまう程の縁飾り。人物もゴシック風でシモーネらしさが見られない。他の作品との整合性が求められたのかもしれない。
1340年代
聖家族
1342年 板 テンペラ 49.6×35.1cm
イギリス リヴァプール ウォーカー美術館
世界美術大全集10 ゴシック2