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ヨハネ黙示録・四騎手

ヨハネが脱魂の状態で書いたとされる「黙示録」は幻想文学で、世界の終わりと神の国の到来を説くその内容は、世紀末の人々の関心を強く惹きつけるものだった。その強烈なイメージは解説の図解を必要としていたが、テキストの迫真性を描き出すのに成功した例は、中世・オットー朝の「バンベルクの黙示録」を除き、少なかった。
デューラーは約40×30cmの紙面に図解を試み、コーベルガーに印刷させて、15枚連作の「ヨハネ黙示録」を出版した。場面選定や基本図式を、直前に出版された、コーベルガーの聖書(1483年)によりながら、ユダヤの幻想性をテキストに沿ったリアリズムで表した。
黙示録の「四騎手」。封印が解かれて弓、剣、秤を持つ生き物と死と呼ばれる騎手が次々と躍り出ている。人馬の形態や動きが写実的に描かれていて、場面が見るものに迫っている。リアルな描写で、自然の威力と人類を混乱と恐怖に陥れる神的運命そのものを描き出している。
デューラーはラテン語版とドイツ語版を発行している。「ヨハネ黙示録」で名声を高めたデューラーは、1511年に木版画連作の「大受難伝」「聖母伝」とともに、新たにタイトル・ページを加えて、書物の形で再版を出版した。

世界美術大全集14 北方ルネサンス
1490年代
デューラー
四騎手 ヨハネ黙示録より
1498年 木版画 39.4×28.1cm
ロンドン 大英博物館