大航海時代とルネサンス 大航海時代 ルネサンス 歴史 参考文献 index

聖女ウルスラ聖遺物匣(箱)

「黄金伝説」によると、ウルスラはブリタニア(フランス ブルターニュ地方)の王女。イングランド王から息子との結婚を迫られたウルスラは、相手の改宗とともに、道連れに10人の乙女と、ウルスラと乙女それぞれに千人の侍女を求めた。ウルスラと1万1千人の乙女は各地を船で巡り、ケルンでフン族の将軍の求婚を断って、ウルスラは乙女たちとともに殉教した。
聖遺物はさまざまな聖人の遺骨や生涯・殉教にまつわる品。病の治癒など奇跡を生む力があると信じられ、礼拝の対象とされた。箱型や聖堂形などの豪華な容器に納められていた。
聖女ウルスラ聖遺物匣の側面には6場面による聖女ウルスラの生涯が描かれている。ロヒールの伝統的礼拝像とは異なる、メムリンクの物語場面連作の作品は、1500年前後からフランドル絵画で物語性を伴う宗教絵画が描かれるようになった先駆けともされている。
下図 左から ウルスラ一行のケルン到着、ウルスラ一行のバーゼル到着、ウルスラ一行のローマ到着
右図 左から ウルスラ一行のバーゼル出発、乙女たちの殉教、ウルスラの殉教
下図 左は 聖ウルスラと乙女たち

世界美術大全集14 北方ルネサンス
名画への旅9 北方ルネサンス1 講談社
1480年代
ハンス・メムリンク Hans Memling
聖女ウルスラ聖遺物匣
1489年 木 鍍金 彩色 86×91×33cm
ベルギー ブリュージュ メムリンク美術館(聖ヨハネ施療院)